生きろ

生きることを諦める前に

『生かされて生きる 健康幸福講座』 
著者 医学博士 中原和彦
発行所 有限会社海鳥社
発行年 1997年11月10日

 

30代のサラリーマンの半数以上が、うつ病を患っている可能性がある現代社会(別府武彦・小松政剛 2015『日本学術会議協力学術研究団体メンタルケア学術学会監修 カウンセリング基本技法』教育ナビゲーション株式会社)においては、この度ご紹介差し上げる著者である中原先生がご提唱なされているように、今後は、真実の愛や本当の幸福の探求を主眼として生きることが肝要です。

 

著書の秀抜である点で、まず、目から鱗が落ちるところは、末期ガン患者が75名も自然退縮した理由を、「自己表現」や「感情表現」を直接に躊躇なく行っている患者さんが多いことに着眼された点です。

 

医学博士である著者が、ガンの発生原因を心に見出しており、それは例えば「発ガンのきっかけは小さいときの環境(愛欠乏状態)と何らかの関係がある」「自殺に向かう心と、ガンの心の状態は非常に似ている」といった記述に表れています。

 

つまり、感情表現ひいては自己実現が上手にできている人ほど発ガンリスクが小さく、「たばこを吸う人で感情の発散が非常に苦手な人が肺ガンになりやすく」、治療の過程においても、何かと我儘を言ったり、注文をつけたりして「検査の方をてこずらせている患者さんは長生きする」のに対して、「逆に『はい、はい』と言いなりで、非常にお行儀のいい、扱いやすい患者さんは割合早く逝ってしまいます」との記述は私には望外の発想でした。

 

「憎まれても、自分はこうしたいのだからするんだと言っているほうが、本当は自分らしい」のに、「自分の感情を抑えて、人の気持ちを優先して合わせていこう」という心を「善人ぶった温和な性質」と呼称し、そういった心を抱き続ける結果、脳がどういった働きをし、どういう病気に向かっていくのかが医学博士の視点から説明されています。

 

決して、自己中心的に生きよ、とおっしゃっている訳ではなく、あくまでも、誠実に、かつ、慎ましく「自分らしさ」を表現することが大事だと言われております。

 

 著者は産婦人科医及び精神科医として、自己犠牲の精神で他人に奉仕するのでは「愛欠乏状態」に陥ってしまうから「自分を愛する」重要性を説かれており、それらは「『人のため』なんて軽はずみにあまり思って言わない方がいいのです」「あなたは人を愛するとか言う前に自分を愛したことがありますか」「本当に生かされていることに気が付く人は、自分の命が素晴らしいものに見えてきて、自分をいとおしい、素晴らしいものに思えるからこそ、自分を愛せるわけです」「感謝がみじんも湧かない人間が、人のために尽くしたらストレスがたまって病気になるだけです」「まだ実力がついていないのにやるな」との金言に顕出しています。

 

同様の理由で、病院で診察や治療を行う際も、患者として医師や看護師に任せっきりにせずに自分が人生の主役として自分で病気を治すという患者学の重要性も提唱されています。

 

全体的に、人間の死生観にまつわるお話なのですが、「物が言えんから胃炎になる」「返答できんから扁桃腺」「あなたの人間性は向上せん(甲状腺)よ(努力が足りないと甲状腺に症状が出る、との趣旨。)」などの笑える冗談もおり交ぜられているので気軽に読み進めることができます。

 

確かに、現在においては、メンタルケアやストレスケアの重要性が増してきておりますが、以上の内容を平成初期の時分に既に提唱なさっておられたことに驚愕の感を禁じ得ません。

 

 

 司法書士・行政書士 坂ア(坂崎)徳夫 総合法務事務所(有限会社 丸江商事 併設)
 代表 坂ア(坂崎) 徳夫(さかざきのりお)
(司法書士登録番号 第470788号/行政書士登録番号 第19430156号/宅地建物取引士登録番号 第010045号)
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