食べ物を残すこと

食べ物を残すこと

小学校では、給食を食べ終わるまで友達と遊ぶことを禁止する旨の法度が担任によって定められておりましたが、私には食べたくないものを誰かに強制される理由がわからず、延々独りで教室に取り残されました。

 

 担任の初老の女教師は
世界には今日の食事に困ってる人がたくさんおらすとばい。残すとそん人達に悪かでしょうが。」
 と、意地悪い顔で言いました。

 

 世界の食糧難は私のせいではないし、そもそも、これを私が食べても残しても難民の胃袋には関係ないのではないでしょうか。
 彼らだって満腹のときには眼前のパンをも残すはずです。

 

 プライベートを裂いて大人しく学校に来てやっている子どもの貴重な昼休みを奪うほどに貧富の格差を憂うなら、教師なんかやめて海外にボランティアにでも繰り出せばよいでしょう。
 小学一年生の時分にそんなことを大人相手に弁論できる訳もなく、しおらしく黙って釈放を期待したが相変わらず勾留は続きましたので、監視の眼を盗んで鯖の味噌煮を右のポッケに素早くねじり混みました

 

 元来細かいことは考慮に入れない性分で、そのまま夕方まで過ごして帰宅時に母の狼狽に遭遇するまで失念しておりました。

 

 同じ時分に、意味もなく下校時に歩きながら小水をして帰り、半ズボンがアンモニア臭に包まれたときと同様、少々、天然気味の母は、怒ることも呆れることもなく、ただ微笑みながら、その味噌まみれのズボンを洗濯してくれました。

 

 

 ちなみにその教師は私にこう言えばよかったのです。
いただきます、の意味はね、人間は動物や植物の命をもらって生きているから、それを有難く頂く、という意味なのよ。だから、その頂いた命を粗末にしては、その頂いた命に対して失礼でしょう。」

 

 そう諭されていれば、少なくとも、サバの味噌煮は捨てられることなく、私以外の誰かが食べていたはずです。

 

 

 

 

 司法書士・行政書士 坂ア徳夫 総合法務事務所(有限会社 丸江商事 併設)
 代表 坂ア 徳夫
(司法書士登録番号 第470788号/行政書士登録番号 第19430156号/宅地建物取引士登録番号 第010045号)
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